2013年10月11日金曜日

閖上区画整理 意見書採択持ち越し 県審議会、17日再開催

閖上区画整理 意見書採択持ち越し 県審議会、17日再開催

 宮城県都市計画審議会(会長・森杉寿芳日大教授)が10日、県庁で開かれ、東日本大震災で被災した名取市閖上地区の土地区画整理事業の計画修正を求めて約450人の署名と共に出された計16通の意見書の妥当性を話し合った。委員からは計画を疑問視する声が出されたが、意見書採択の是非は判断せず、継続審議とした。17日にあらためて審議する。

◎事業認可、来月以降に

 県によると、継続審議になるのは異例。市は今月中に事業認可を得る予定だったが、採択が持ち越されたことで認可は11月以降にずれ込むことになった。
 審議会では意見書提出者のうち3人が意見を述べた。約450人の署名を添えて提出した男性(65)は、市の現地再建計画が津波を不安視する被災者の意向を反映していないとし、「どうしても閖上の西部に住みたい人の切実な願いをかなえてほしい」と訴えた。
 説明を求められた佐々木一十郎市長は、閖上の歴史などに触れながら現地再建の意義を強調。西側に居住区域を広げても「店舗もない農村地帯で被災した高齢者が生活していけるのか。まちの持続性の面からも課題を残す」と述べた。
 委員からは「閖上は早い段階で合意形成に着手したはずなのに、なぜこのような現状なのか」「最も重要なのはまちづくりでなく住民の気持ちだ」など、計画作りの在り方に疑問を投げ掛ける声が相次いだ。「被災市街地復興特別措置法」の特例により、区画整理地内の住民が地区外の住宅を取得することは可能とする見解も出された。
 審議会は結局、審議になじまない意見4テーマを不採択とする一方、内陸の移転先や災害公営住宅の拡充などを求める意見についてはより慎重な審議が必要と判断した。
 佐々木市長は審議会後、「仮に審議会で計画を認めていただけないと、それをもう一度一から構築しなければならない」と不安を口にした。
 区画整理事業に関する審議は従来、個人情報が含まれることなどから非公開とされてきたが、この日は住民の関心が高いことなどを踏まえて初めて公開で行われた。

 河北新報 2013年10月11日金曜日

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